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~side土方~
総司が連れ帰った現在進行形で油断できない女は、依然謎のままだ
土「…喰えねえ野郎だ」
三カ所の出身なら、勤皇派の可能性が高い
パチッ
土(白でも黒でもねぇ今の状況が一番厄介だ)
パチッ
誰もいない自室で碁を打つ土方
盤面は黒が有利だ
けれど、中盤のため勝敗は決められない
パチッ
土「…もって1月だ」
長い黒髪がサラリと顔にかかった
土「奴を引き受けるのは、1月までだ
それ以上は受け付けねぇ‥たとえ白でもな」
かかる髪を払いのけ、猫背を伸ばすと格子戸を開ける
そこから僅かな換気に満足すると、再び部屋は密閉された
島「……」
パチッ
土「チッ…このまま生かしたら、こっちが殺られるな」
この角が欲しいが、ここを打てば右上を攻められる…
そんな土方の真後ろにいた島田は、静かに一礼し退場した
土「…結局勝ちゃんの勝ちか」
両脇に置かれた碁石入れ
一人、前戦を振り返っていた自分を笑う
―攻めか、守りか…
土「流浪人ね…流れ流れて何処へ行く気だ?」
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