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風の旅人
* * * * *
?「本当に、出てゆくのだな?」
舞「…はい」
?「…ハァ、お前は。勝手にしろ!ただし~…」
………
………
沖「舞さ~ん、置いてかないで下さ~い♪」
蒸し暑いなか、私は邪魔にならぬよう壬生寺に来ていた
懐かしい故郷を思いながら、ひたすら剣を振るっていた私は、不覚にも沖田に見つかってしまった
浪士組に来て、もう数日…
私の旅は、珍しく停滞している
舞「沖田…付いて来るな;」
もう限界だ
これ以上の停滞は無意味
自由気侭な旅、風のように地に足付かぬ
それがモットーだが、それでも目的位はある
沖「酷いなぁ; でも、強い方は大好きなので許しますけど♪」
紅い瞳が、ニヤリと笑った
刀を収めた私は、黒く微笑する沖田を横目に歩く
横を歩く彼は、終始笑顔で掴めない
あれから、斎藤のおかげで私の貞操は守られている
そのせいか、沖田は舞に付きっきりで機会を狙っているのだ
沖「ずっと思ってたんですけど…
その刀…新打ちではありませんよね?
それに、鉄でもなさそうです」
視線を刀に、沖田は改めて思う
手合わせした時の違和感
跳ね返る手元の振動
沖(…槍以上にやりにくい相手でした)
舞「この刀は、拵えと鞘は新しいが…
刀身は、引き継いだものだ」
沖「へぇ~…舞さんの故郷って何処ですか?」
長い髪を靡かせ、舞は懐かしそうに微笑んだ
舞「三カ所だ…遠い遠い、神域と呼ばれる街だ//」
沖「…神域?」
舞「神々の眠る地とされ、信仰的な街…
この刀は、元々神刀とされていた
それを、貰い受けたのだ」
沖(どうりで…軽いはずだ)
鉄であれば、もっと重かっただろう
凛と歩く彼女の姿勢は美しく、話している間も人の視線を集めていた
沖(競争率は高いですね…ま、土方さんが白なだけマシですけど)
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