ろうごく☆らいふ

5/5
前へ
/12ページ
次へ
  「おはようノラネコくん、記憶はどうだい?」 「…」 この人を見るのは初めてだ、どうやら彼が村長さんという村一番のお偉いさんとやららしい、ガラスの向こうで受話器を手にする青年は、まだ若い顔付き、きっと自分と同年代くらいだろう 女のように長い髪、そのピンクの頭には兎の耳、少しぼろい赤いジャージ、そして足が悪いのであろう車椅子に乗っていた。 「…だいぶ思い出した、ただ事故った時と大体の人生くらいしか思い出せてねえ、自分の名前とかどんな奴だったまでは…ちょっとな」 「なら、自分が何を仕事に生きていたかはわかるんだね?」 「……ああ、主に悪行ばっかりだ、今回は人身売買が目的だった気がする」 嘘をつく気は無かった、これは今になるからこそ俺が罰されるべきことだ、死ぬことができないなら別の償い方を決めてもらった方がいい、でなければ晴れる気がしないのだから。 「…どうやら随分と性格が変わったようだね、よかったじゃないか」 「何がだ」 「良い子でよかったということだよノラネコくん、…そうだね、今すぐは無理があるけれどいつか牢獄を出してあげるよ」 「…はあ」 「そしてその時に、約束を幾つかしようか、うん」 「…」 どういうことだろうか、余計に混乱するだけの面会だった。  
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加