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「思い起こせば、お前のお祖父ちゃん、『スカイバロン』はダーク博士の作った『人類みなごろし爆弾』を抱えて宇宙に飛び出し、虚空の塵と消えた」
滝のような涙が頬を伝う。僕はすでに心の耳に栓をしていた。
「私も数々の怪人や宇宙人と血みどろの戦いを繰り広げたものだ。」
「あの頃のあなたは素晴らしかったわ」
思い出に酔う表情で、母さんが合いの手を入れる。
「強くて熱くて爽やかで……」
最後の一つはダウト!
「君も素敵だったさ、ハニー」
親父は母さんに身を寄せ、手を握る。
「『レディー・ザ・ボンテージ』のムチさばきに、敵も味方もメロメロになったもんさ」
「あらやだ、お父さんたら……」
この場で三人目を作りかねない中年バカップルのイチャイチャぶりに、僕の忍耐力は限界を突破した。
「アホらし」
吐き捨てるように言うと、僕は席を立った。
「おい、待て英雄。話はまだーー」
「また後日で。疲れてるんだ。」
遮って、僕は階段を上った。
疲れているのは確かだった。かっこよく言えば、自分の運命に。
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