PART 2

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「お兄は腐ってもヒーローなんだよ?普通人と釣り合うわけないじゃん」 腐ってて悪かったな。 「僕はヒーローになりたいわけじゃない。もっとこう、堅い仕事がいいんだ。公務員とか」 「あたしらもそうでしょ、特別公務員」 「だから防衛省みたいにイカツイところじゃなくて、市役所の窓口とかさあ」 はん、と夕妃は鼻で笑った。 「何夢見てんの?週イチで戦ってれば良かったパパたちの頃とは違う。他の仕事して、片手間にヒーローやってられるご時世じゃないことくらい判ってるでしょうに」 「……」 ご時世。そう、五年前のあの日から、世界の事情はすっかり変わってしまった。 スターフォール。 この年にあった宇宙ステーションの爆発事故をそう呼ぶ。 バラバラになった残骸が大気圏で燃え尽きる様が、まるで流星群のように見えたからだ。 破片が地上に落ちることはなかったが、目に見えないものは大量に降り注いだ。 星をたくさんあしらった国旗の国が、密かに研究していた宇宙線の一種だ。 今も公になってはいないけれど、近年のバグ発生率の増加はこのためだろうと言われている。
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