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おかげで親父が引退してからこっち、『ゴールデンボーイ』は大忙しだ。はた迷惑ったらありゃしない。
「とにかく、もうちょっとシャンとしてよね。サポートするこっちの身にもなって欲しいわ」
「それならお前がメインを張ればいじゃないか」
必殺技あるし。
「そりゃまぁあたしは、正義の名の下に敵をぶっ殺すのがダイスキだけどさ……」
なんと邪悪な笑みだ妹よ。
「……長子相続ってのがパパの方針なんだから仕方ないじゃん」
まったく、あのアナクロ大魔神め。
「ってことで、精々頑張ってよね、オニイチャン」
夕妃は背を向けた。嫌みタイム終了のお知らせに踊る僕の心に、背中越しの言葉が突き刺さる。
「普通のコと付き合ったからって、普通になれるわけじゃないんだよ……?」
ドアが閉まった。
その木製の板をしばらく見つめた後、僕はベッドに大の字になった。
「『職業選択の自由』ってのは、基本的人権じゃなかったかなぁ……」
答えてくれるものは誰もいないのだった。
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