PART 3

2/9
前へ
/31ページ
次へ
抜けるように青い、秋の空。 「おかけになった電話は、電波の届かない場所にあるか……」 無機質なアナウンスが、僕の心に雲を広げた。 いよいよ来ました週末デート! なのだけど、待ち合わせ時間から二十分を過ぎても、僕は公園の時計台の下、ひとりぽつんと立っていた。 三田さんは真面目な娘だ。 連絡もなしに遅れたり、ましてやすっぽかすなんてことはありえない。 不測の事態でも起きない限りは。 胸に広がった雲はみるみる厚くなり、雷まで鳴り始める。 『お兄』 夕妃のテレパシー。ーーやっぱりそうきたか。 嫌だ。何も聞きたくない。 『ちょっとなにシカトしてんの?バグが出たんだってば!』 公園内はにわかに喧騒に包まれた。 さして広いわけでもないが、休日とあって家族連れからカップルまでそれなりの人出がある。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加