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抜けるように青い、秋の空。
「おかけになった電話は、電波の届かない場所にあるか……」
無機質なアナウンスが、僕の心に雲を広げた。
いよいよ来ました週末デート!
なのだけど、待ち合わせ時間から二十分を過ぎても、僕は公園の時計台の下、ひとりぽつんと立っていた。
三田さんは真面目な娘だ。
連絡もなしに遅れたり、ましてやすっぽかすなんてことはありえない。
不測の事態でも起きない限りは。
胸に広がった雲はみるみる厚くなり、雷まで鳴り始める。
『お兄』
夕妃のテレパシー。ーーやっぱりそうきたか。
嫌だ。何も聞きたくない。
『ちょっとなにシカトしてんの?バグが出たんだってば!』
公園内はにわかに喧騒に包まれた。
さして広いわけでもないが、休日とあって家族連れからカップルまでそれなりの人出がある。
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