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その人々が叫び声をあげながらてんでバラバラに走り回っている。
典型的なパニック状態。どうしていいか、逃げるにしてもどこが安全なのか判断できないでいるのだ。
闇雲に駆けながら、恐怖に見開かれた目を時折ある方向にちらちらと向ける。
その視線の先にバグがいるのだ。
『あたしは避難誘導で手一杯なんだから、キリキリ働きなさいよね!』
『ーー犠牲者は?』
恐る恐る訊いた。
『子供が二人ーーグズグズしてるとすぐに増えるわよ』
「子供ーー」
不謹慎ながら、僕は安堵の息を吐き出した。
三田さんは巻き込まれてないようだ。ならば早いこと片付けてしまおう。
それにしても、よりにもよってこのタイミングとはね。
神様ってのは意地悪だよ本当に。
「ゴールドフラッシュ!」
逃げるのに必死で、だれもこっちを見てはいない。
それでも変身時に隠れるのはもはや習性だ。
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