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僕は跳んだ。
ケン坊より一回り小さなその男の子は泣き叫んでいた。消化液に浸かった足元は既に白煙を噴いている。
バグの正面(多分)に立ち、かろうじて顔に見える部分を僕は殴った。
男の子は必死で拳を胃壁に叩きつけていた。痛い、熱い。叫びは止まない。
僕は殴った。柔らかいバグの体は衝撃を吸収するのか、効いてるようには見えない。
不意に男の子は上を見上げる。
殴った。
頬に落ちた滴。新たに胃液がーー強力な溶解液が分泌されつつあるのだ。
殴った。殴った。殴った。
そして、黄色がかった液体が、男の子の体に降り注ぐ。
殴った。殴った。殴った。殴った。殴った。殴ーーーー
断末魔の悲鳴。溶解液のプールで、男の子はあっという間に骨だけになった。
「ーーーー!」
僕は化け物の突起物、その一つを掴むと、高く持ち上げてから思い切り地面に叩きつけた。
ブギュウとかなんとか、間抜けな声を上げるそいつを、力の限りに押さえ込む。
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