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あの日の放課後。そのネックレスをプレゼントしたときの彼女の笑顔は、僕の胸に焼き付いている。
「ありがとう」
消え入りそうなその声も。
「ラプンツェル!」
僕は呼びかけた。
「犠牲者は子供二人だけなんだな?」
「バグ発生の時から周囲の状況はフォローしてる。間違いないわ」
ではあれは……こいつは……
「三田さん……」
呟いた僕を、衝撃が襲った。
バグの突起のうちいくつかが触手のように伸びて、僕の両手足を拘束したのだ。
そのまま宙高く持ち上げられたかと思うと、さっき僕がやった倍の速度で地面に叩きつけられる。
もう一度同じプロセスを辿ろうとして、しかし触手は動かなかった。
僕の自慢はパワーだ。一度踏ん張れば、思うように扱うことなど出来るハズもない。
力比べの様相。すると、また突起の一つに変化が現れた。
ゆっくりと突起はその形を変えてゆき、やがて現れたのはーー三田さんの顔だ。
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