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それはパクパクと『口』動かした。
声は出ない。けれどその唇の動きはーー
タスケテ……
と読めた。
「騙されないで、ゴールデンボーイ!」
ラプンツェルが叱咤する。
「三田宏江はもういない。あれは擬態よ!」
「判ってる!」
僕は返した。
判っているんだ。でも……。
力の入らない僕を、スライムバグは引き寄せ始めた。
その一部にぽっかりと穴が開く。自慢の消化液の餌食にするつもりなのだ。
「ゴールデンボーイ!ーーひぃくん!」
変身中はヒーローネームで呼ぶ。その不文律を破ってラプンツェルは叫んだ。
「見て、あなたの後ろを。あなたの街、そこに住む人たち。そいつのエサにするつもり!?」
だから、判ってるってば!!
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