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『……何だよ。今授業中だぞ?』
『何の授業よ、オママゴト?』
含み笑いの気配。
『用件は?』
『おお怖わ、怒らないでよオニイチャン。ーーバグが出たわ』
テレパスでもある夕妃は、ヤツらの気配を捉えるのが得意なのだ。
『お前が行けよ。押し付ける気か?』
『あたしは小テスト中。余裕ないのよ、お兄と違ってね』
『ーー場所は?』
こうして、僕は授業を抜け出すハメになった。
急におなかが……と腹部を押さえ前屈みで教室を出て行く僕を見て、三田さんはどう思っただろう。
デートに影響しないことを、僕は切に願った。
バグが出現したのは、体育館の裏。校舎の階段を駆け下りながら、僕は金鎖のブレスレットをはめた右腕を天にかざした。
周囲に人の気配がないのは判っている。
「ゴールドフラッシュ!」
叫びと共に、僕の体はまばゆい光に包まれた。
本当はかけ声など必要ないのだが、ウチの頑固親父がやたら様式美にこだわるので習い性になっているのだ。
光が収まるとともに、変身のプロセスは終了した。
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