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僕は跳んだ。そいつが振り向くより早く、頭部にキックを見舞う。
ギョエエーだかギュウウーなんて間抜けな叫びをあげて、カメレオンの出来損ないは派手に吹っ飛んだ。
「ここは私に任せて、早く逃げなさい!」
女生徒や体育教師に向けて、僕は促した。先祖代々の稼業なので、ヒーローらしい声を出すのはお手のものだ。
金色の全身タイツに身を包んだ、顔までゴールドペイントの輩。
普段なら失笑ものだろうけど、事態が事態だ。
生徒たちは我先に出口へ走った。
「頑張って、ゴールデンボーイ!」
そう声をかけてくれる子もいた。
嬉しくなくはないけれど、『名は体を表す』にもほどがある、といつも思うのだ。
うめき声を上げつつカメレオンバグが立ち上がる頃には、体育館は僕らの貸切になっていた。
はっきり言って楽勝の相手だ。ランクはおそらくE。
手間がかからないのはありがたいけど、もらえる補助金もたかが知れている。
ローンの支払いにため息を吐く母さんの姿が思い浮かんだ。
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