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「65点。及第ギリギリねぇ」
我が家のリビング。ダイニングテーブルに両肘を着いて、母さんは大げさにため息を吐き出してみせた。
名前は緋色麗妃(ひいろ うらら)。
かつてヒーローチームの一員、『レディー・ザ・ボンテージ』として名を馳せた、ミ○フ○コ似の美貌が憂鬱に陰っている。
及第点どうこうってのは、テストのことじゃない。
ある意味テストではあるけれど、より深刻な意味を持つのだ。
「うっわ、何これ」
妹の夕妃が、テーブルに置かれた査定表をひょい、と取り上げた。
「名乗り×、必殺技コール×、バトルの流れC……ありゃ、勝利のポーズもやんなかったの!?これで良く65点もくれたもんだわ」
夕妃はけたけたとあざ笑った。
膝裏まで伸びたストレートの黒髪をツインテールにまとめ、つり気味の大きな目とモデル体型を誇る妹は、僕を小馬鹿にするのを生きがいとしている。
確かに絶世の美少女でファンも多いのだが、そいつらがこの姿を見たらどう思うだろう。
……案外もっとハマってしまうかも知れない。
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