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 正彦は既に絶望した顔付きだったが義仁は再び型を始めながら話を続ける。   「以前、先輩が少林寺拳法と喧嘩した事があった。少林寺拳法は大東流から来ている。勿論、合気等伝授されていない。しかし先輩は成す術もなく両肩を外され病院に直行したという事だ。    大東流には立ち極めがある。立ち技を裁き倒す事なく関節を極めるのだ。それも当て身のスピードで!」    今まで黙って聞いていた正彦が口を開く。   「では何故、義仁は空手を続けている? 空手で大東流には勝てないのだろう?」   「は? ならばお前は大東流に負けたら柔道を辞めるのか? その程度の気持ちなら、今すぐ辞めてしまえ!」    義仁の言葉に正彦は、はっとした。今まで悩んでいたモヤモヤが一気に消し飛んだ心持ちだった。良く見ると今日の義仁のTシャツのアニメの女の子は空手道着で可愛らしく構えている。   「そうだ。私は柔道家だった。柔道の技で大東流を倒す!」
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