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 正彦は義仁から演武大会の話を聞いた。たまに公民館で日曜に開催しているらしい。大東流も参加するだろうという事だった。    言われた通り来てみると大きな看板に演武大会の文字があり大勢の観客や袴の武芸者達が外を歩いている。    正彦が中に入ろうとしたその瞬間、不意に肩を叩かれた。 「よう、正彦じゃん」    振り向くとそこには袴姿の同級生の俊介が立っていた。クラスで一番目立たずヒョロヒョロでどう見ても武術とは無縁な俊介のその姿は意外だった。   「お前、何かやってるの?」 「まぁね。天下無双の大東流さ」 「大東流!?」    正彦は既に戦闘モードに入っている。   「正彦は柔道だよな? いくらか強いらしいけど大東流の敵じゃあないね。良かったら教えてやろうか?」    正彦はブチ切れた。 「黙れ時代遅れの古流柔術が! 柔道こそが最強だ! 今日の夜六時、藤公園に来い。勝負しろ!」    俊介は余裕の笑みで公民館へと消えてゆき正彦は演武大会を見ずにこの場から去って行った。
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