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それから一週間が経った。あれ以来、正彦も空手の話をして来ない。先生も、解ってくれたのだろうと安心していた矢先、事件は起こった。
先生が道場に入ると、一人の生徒が腹を抑え苦悶の表情を浮かべている。周りの生徒が心配する中、正彦は冷静にそれを見下していた。
「正彦! お前の一ヶ月間、道場の出入りを禁止とする!」
先生の怒鳴り声は凄まじく、生徒は皆、萎縮してしまった。が、正彦はじろりと睨み返す。
「僕は柔道で空手の術を制する!」
一言告げた後、正彦は鞄を持つなり道場を飛び出して行った。
怒鳴りつけた先生だったが、そんな正彦を見ながら、口には含み笑いを浮かべていた……。
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