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二人とも怒りは頂点に達していた。
「もう寸止めしねえから」
「来いコラ」
正彦は義仁の構える瞬間、左手を取り懐には入らず、外に時計回りに円を描く様に引き崩した。
義仁が崩れた体を立て直そうと左足で踏ん張った瞬間、もう片方の手首を取り、袖釣りを仕掛けた。
両手を封じられた義仁の体は宙を舞い、再び地面にたたき付けられた。
「ぐえっ」
正彦はすかさず馬乗りになると、苦しみながら咳込む義仁の顔面目掛けて渾身の力を込めて正拳突きを放った。
拳からは確かな手応えを感じる。義仁の鼻から大量の血が流れる。柔道が勝ったのだ!
鉄の拳の先を取り、鋼の体を見事に崩し、完全なる一本を叩き込んだのだ!
「うおぉぉっ!」
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