2人が本棚に入れています
本棚に追加
「で、なんでここに来ようと思ったんだ?」
「・・・」
「俺に言えないようなことか?」
そりゃあ言えないよ、たくやくんに会いたくて来ただなんて…
「俺らさ、昔は家も近くてよく遊んでたよな~。愛美泣き虫だから転んだだけで泣きわめくし、俺におんぶねだるし本当に甘えん坊だったよな愛美は。」
「そんなことあったっけ~?」
「ぜってぇ覚えてるだろ、お前。」
「アハハッ、そんなの忘れちゃった~」
「おまっ…ハハッ」
たくやくん、あたしとの日々のこと覚えててくれてたんだ~…凄く嬉しくてたまらない。
「でもな、愛美。今の俺らは先生と生徒なんだ。だから昔みたいに下の名前呼んで、おんぶもしてやれない。・・・だから「愛美」ってお前のこと呼ぶのは今日で最後だ。今まで通りには出来ない。俺のことは昔みたいにたくやくんなんて呼ぶな、俺も愛美なんて呼ばないから。」
「えっ…」
なんで、そんなこと言うの?
あたしは誰よりもたくやくんが好きなんだよ?今までも、これからも。
なのに、たくやくんはまるでそれを拒んでるみたい。
昔の二人の思い出も、
あの約束も無かったことにするの?
気づいたら頬は涙で濡れていた。
「泣かせて悪いとは思ってるけど、昔みたいに涙も拭いてやれない。愛美、それが先生と生徒の関係なんだよ。・・・俺たちはもう子供じゃない。」
最初のコメントを投稿しよう!