Mark

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引っ越しをしてからの生活は空虚に満ちていた。 友達と遊んでても、何をしてもその瞬間は楽しいけれど一人になると考えるのは愛美のことばかりだった。 愛美のいない日々は胸にぽっかり穴が空いたようだった。 高校生の時には何人かの女の子に告白されても、気持ちは嬉しいけど誰とも付き合う気にはなれなかった。 もうその時には愛美が好きだって自覚してたし、気持ちを自覚していなかったあの頃の約束“愛美と結婚する”を果たしたいと思ってた。 その頃までは… 大学生だったある日、俺は昔住んでた町に今も住んでる友達と遊ぶために地元に帰っていた。 そして友達と待ち合わせをしていた時、偶然愛美を見かけた。 その時の愛美はある雑貨屋でお買いものをしていた。 愛美はあんなに小さかった身長が伸び、幼かったあの顔立ちも少し大人っぽくなっていた。 そんな愛美をただ見続けていた。 “愛美…” 俺はあの瞬間、愛美を欲した。 「おい、中村?」 と声をかけられるまでずっと愛美を見ていた。 「他のやつらも待ってるからさっさと行こうぜ。」 「おっおう…」 未だに悩み続ける愛らしい愛美を遠目で見ながらその場を去った。 そして友達と遊び、別れた後一人帰路に向かう中気づいた。 俺の知らない俺が、心を支配しようとしてることに。
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