It’s no use crying over spilt milk

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俺の名前は芳原 七兎。 高校2年、青春真っ盛りな男子である。 と言いたいところだがこれまで特に恋愛したことも無く人を好きになった経験はゼロに等しい。これといった問題もなく、平々凡々に生きてきた極々普通な男子高校生なもので、青春な高校生活なんて夢のまた夢だ。 高校2年目の夏こそは可愛い彼女でも作って、青春謳歌したい。 放課後夕日に照らされる河川敷をニケツして通り、彼女を家まで送ったあと「うち寄ってく?」なんて聞かれてその後はムフフ…な展開に! とは妄想を膨らませてはいるものの、何せ俺の通う高校は工業高校であり、ほぼ男子校みたいなものだ。女子は多いクラスで2,3人程度で、残念なことに俺の居るクラス、電気科には1人も居ない。 つまり出会いもなければきっかけもない。俺の妄想も実現不可能なまま、所詮妄想は妄想のまま虚しく終わるのだ。 「は~~!!彼女欲しい!!」 「なに芳原、欲求不満なの?」 にやにやと気持ちの悪い笑みを浮かべて肩に腕を回してくるのは、クラスメートの間宮。さり気なく腕を振り払うと、にやにやしながら空いている前の席に跨って座ってきた。その様子を見ておもわずため息が出る。これが可愛い女の子だったらどんなにいいか。 「そりゃー欲求不満にもなるだろ。女子がいねーんだ女子が。」 「女子はいねーけどさ、ほら、高木って可愛い顔してるよな」 間宮は、女顔で有名な高木英也の席の方へ指を差す。それを目で追うと、高木は此方を見ていたらしくバッチリ目が合った。焦りつつも目を逸らせず見ていると、高木は普段の可愛らしい顔から想像も出来ない程ゲスい顔で中指を立ててきた。指を指されて誰もいい気はしないだろうが高木も最高潮にイライラしていたらしく、最悪なタイミングだったようだ。 「お前が指差すから怒ってんじゃん。中指立てられた…」 「アハハ、高木が性格クソなのは有名だよな。でもあいつ、ホモらしいよ」 「…まじ?」 「まじまじ。機械科の先輩とデキてるらしいって噂」 いくら彼女ができないからってあんな無愛想なやつ、ましてや男とかねえよな。 間宮は手をひらひらとしながらそう言い捨て、自分の席へと戻っていった。あいつは結局俺に何が言いたかったのだろう。 それにしても高木ってホモだったのか。やっぱり可愛い顔してるから、そっちのケに見られたりするのだろうか。
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