It’s no use crying over spilt milk

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よくわからないが未だに高木には凄い形相で睨まれているし、面倒くさいことになる前に関わるのを回避したい。 そう思い高木の痛い視線は無視することにして徐に机の中に手を突っ込むと、先週図書室で借りた返していない小説が入っていたことに気付いた。しかも借りたことすらすっかり忘れていたためまだ読んでいない。 放課後にでも図書室で読んで、そのまま返そう。そしてまた新しい本を借りて帰ろう。 ビバ、帰宅部。帰宅部にだって活動によっては楽しみ方は人それぞれあるんだからな。充実した部活動だ。 * 「失礼しまーす…」 図書室を覗くと、珍しく誰もいないようでいつも以上に静まり返っている。いつもは受付にいる図書室のお姉さん通称、本子さん(モトコサン)が「ぼーいずらぶ」?ってやつを読んでるか、図書委員が仕事をしていて賑やかなのに、今日は何故かどっちも不在みたいだ。 いつものように本子さんが「この受けマジ嫁、抜ける」とか、「この攻めマジ鬼畜」とか俺には意味のわからない用語を叫んでいるのを横目に本を読めないのが少し寂しいが、静かな日があってもいいだろう。 「あ、「君の腎臓をたべたい」!やっと返ってきたんだ~読みたいなぁ」 俺は本の匂いが好きだ。中古本屋で買ったちょっと黄ばんだ本も、書店で買った新品の綺麗な本も、何方もそれぞれ違う、落ち着く良さがある。 もういっそ本屋さんか図書室に住みたい。本に囲まれた生活がいい。衣食住に「読」を追加してほしいくらい。 なんちゃって。 椅子に座ろうと背凭れを引いた瞬間ガタッ、と本棚に何かがぶつかった音がした。 ビビリの俺は心臓がバクバクになっているのに気付かないふりをして、背凭れを机の下に戻した。 「や、やっぱり今日は帰ろう。」 物音がした本棚の方を避け、そそくさと図書室から出ようとすると其方の方から何か話し声のようなものが聞こえた。怖すぎて身体が硬直している。 (も~~なんでこんな日に限って本子さんいないんだよ~~!!) 若干涙目になっていることは誰にも内緒である。図書室に入る前に見回したけど恐らく誰もいなかったし、誰か入ってきたなら絶対気付くはずなのに、これはもう人間ではないってことだ。何か、というのは言いたくない。言ったら後ろは振り向けなくなる。
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