千見寺財閥の御曹司

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そんな彼女たちの目が私を見る。 「あなたは……名前なんていうの?」 「わ、私は加藤美羽です。」 「加藤、さん? どこの人?」 彼女らが言う『どこの人』というのは、どこの社長の令嬢かとか、そういうこと。 「私は普通だよ。お父さんはサラリーマンで、お母さんはパート。」 「お母さん、働いてるの!?」 「サラリーマン!? てことは特待生って加藤さん?」 「うん、そうだよ。」 だから私が自慢できるのなんて特待生ってだけ。 みんなは疑うような目で私を見つめる。そんな目で見られても本当だから困る。 そんな私にとって気まずい雰囲気も、始業式が始まったからすぐに途切れた。
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