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翌日、惺ちゃんの両親が帰宅し、皆でご飯を食べた。
ほろ酔い加減の惺ちゃんのお父さんは、持っていた缶ビールを少し乱暴にテーブルに置くと、誰も予想しないことを口にした。
「惺悟、男はきちんとしなきゃいけないんだぞ」
「は?父さん、いきなり何?」
いきなり話を振られた惺ちゃんは話の流れが解らず、困惑気味だ。
いや。
惺ちゃんだけじゃなく、わたしやパパたちも。
「律くん、覚えてる?」
場の空気を読んだ惺ちゃんのお母さんが途中で口を挟んだ。
「りっちゃん?最近は会ってないけど、小さい頃はよ遊んだから覚えてるよ」
惺ちゃんが返事をすると、惺ちゃんのお母さんは小さく頷いて話を続けた。
「律くん、結婚するんだって」
「......は?」
惺ちゃんは、ますます訳がわからないと言った顔をした。
「だからね、つまり......」
惺ちゃんのお母さんは口ごもり言いにくそうにしている。
どれだけ深刻な話なのだろうか。
わたしたち家族は息を潜め、さすがに席を離れた方が良いのではなかろうかと思い始めた。
「出来たんだよ」
しばらく黙りこんでいた惺ちゃんのお父さんが急に口を開いた。
「だから、何が!?」
いつまでもハッキリしない二人の態度にイラついたのか、惺ちゃんは少し語尾を強めた。
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