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「......オレはもういいです。少し風に当たりたいので表に出てます」
そういうと惺ちゃんはリビングから出ていき、やがてドアの開閉する音が聞こえた。
「惺悟ったら、どうしたのかしら。急な話で驚いたのかしら」
キョトンとしている、おばさんの顔。
「惺ちゃん、彼女はいないって昨日話してたよ」
「えっ......?うそ、本当に?あら、イヤだ。知らなかったわ」
おばさんは「しまった」という顔をした。
「惺悟くん、付き合っている子がいたのね?」
ママが尋ねると、おばさんは大きく頷いた。
「とても可愛らしい子で。でも、あの様子だと惺悟が振られたのかも知れないわ」
おばさんは顎に手を当てると、小さな溜め息を吐いた。
「今年、急に帰ってきたからどうしたのかと思っていたけど、きっとそれが理由だったんだわ。失敗した」
「大丈夫よ。惺悟くんはまだ若いのだから、これからも沢山恋愛をするし、何よりモテるから周りの子が放っといてくれないって」
「そうよね」
「さ、呑みましょう」
大人たちは再び呑みだした。
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