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「紗英、本当に良かったの?」 「いいよ、いいよ。 ひかりが行かないならツマラナイし」 朝の電話の後、紗英はウチにやって来た。 頑なに合コンを拒否する私に根負けしたのか、紗英も行かないと言い出した。 代わりにランチに行こうと誘われ、それならとOKしたのだ。 今年の春に二人とも高校を卒業し、進学はせずに就職した。 今日は土曜日で、お互いの休みが合うのは久しぶりだった。 「暑いねー」 紗英は右手を振って顔を扇いでいる。 「ホント、暑い......」 7月の太陽はだいぶ強さを含んでいて、容赦なく道行く人を照らしている。 勿論、私たちにも。 日を追うごとに暑さを増していく太陽はジリジリと私の肌を焼き、否応なしに過去を思い起こさせる。  
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