01

3/22
前へ
/109ページ
次へ
誕生日を間近に控えたある日のことだった。 夏休みと言うこともあり、夕方まで友達と遊んでいた私は帰宅途中にお向かいの高良さんちの玄関前に人影を見つけた。 中を窺うような様子の人影に、休みに入る前の先生の言葉を思い出していた。 [暑くなると変な人が出てくるので気を付けるように] ゆらゆらと揺れるソレは泥棒か、はたまた変質者かと頭の中を駆け巡った。 自分の家に帰りたい。 だけど帰るためには高良さんちの前を通らなくてはならない。 私は怪しい人影に危機感を感じて、子供なりにどうしようかと一生懸命に考えた。 しかし、いくら考えても良い案など出るはずもなく、途方に暮れて少し離れた所から眺めていることにした。 何分が経過したかは定かではないが、しばらくすると目の前の人影は高良さんちの玄関から離れた。 ホッとしたのも束の間、人影は自分の方向へと歩き出した。  
/109ページ

最初のコメントを投稿しよう!

368人が本棚に入れています
本棚に追加