第一章 悪鬼羅刹の猫娘

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そして二十二時、ヒルダの酒場から東に二百メートル程離れた場所に彼女達はいた。 「………オイ、本当にやる気なのかよ」 「あったり前だろ~う。それともなんだい?キャットレディともあろう者が怖じ気づいたのかい?」 「ばっ――んなんじゃねえよ!」 「ハイハイ、まだバージンな子猫ちゃんは男が怖いんでちゅね~」 「てんめ………ぶっ殺すぞ!」 「そうそう、その怒りをあの酒場のモテない男共にぶつけるよ~」 「クソ……いつか絶対殺してやる……」 そうしてレヴィリアは顔を真っ赤にし、握り固めた拳をプルプルと振るわせながらもアマンダの後を着いていく。 無駄に笑顔な金髪美女を追い掛ける黒髪の赤面美女。 中々に珍妙な光景だ。 「いよーしレヴィリア、準備はいいかい?」 「いや……まあいいけど………でも見てみろよ。蟻みたいにウジャウジャいるぞ」 「二十八人さ。幹部は【クソ男】と【優男】と【ブサイク】の三人、ま!私とアンタならやれるだろ」 「まぁ……出来ない事もないけど……うへぇ、クソ男もいんのかよ。アイツすぐケツ触ってくっから嫌いなんだよな」 ヒルダの酒場の入口、木製の少し寂れた扉を僅かに開けて中を覗き込んでいるレヴィリアに対し、アマンダはレンガ造りの壁にもたれ掛かりながら【バルフレア】に矢を装填している。 時折口元がニヤリと歪むのが地味に怖い。
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