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クイーンと呼ばれた金髪美女がバルフレアで無数の金属の矢を射出し、レヴィリアは必死の思いで建物の影に身を隠す。
しかし、尋常ではない程のスピードで射出される短い金属の矢はコンクリートの壁をいとも簡単に削り取っていく。
「あっははははっ!そんな所に隠れてたって無駄………あ」
連射式ボウガン【バルフレア】
秒間四発の連射性能を誇る最新式のボウガン。
それに使用するのは金属の矢。
欠点は矢が金属であるが故の重量である。
矢の一本辺りの重さは約百五十グラム。
あまり大量に持てば重量により機動力が格段に落ちる。
ましてやクイーンは女性だ。
機動力を殺さずに持ち運べる重量は十キロ程度。
つまり、クイーンが肩から下げているケースの中にあるのは七十本程度だろう。
それを二十秒近く連続使用したのだ。
「んなっ!弾切れ!?」
当然、矢は底をつく。
「はっはぁっ!バーカ!調子に乗ってっからだ!」
そこに建物の影から飛び出したレヴィリアがナイフを構えて距離を詰める。
クイーンは接近戦を苦手としている。
つまりは勝ったも同然。
「馬鹿は………レヴィリア、アンタだよ」
―――ボウガンが一丁だけだったならば―――
「んな―――っ!」
レヴィリアは歯を食い縛り、足を踏ん張らせてブレーキを踏み、思い切り身体を捻るも間に合わず、肩に鈍い衝撃と激しい痛みが走る。
「ぅあ……ぁぁぁ……んのクソアマ………騙しやがったな……」
「おやぁ?おかしな事言うねぇキャットレディ……私はボウガンが一丁しか無いだなんて一言も言ってないよ」
血に塗れるレヴィリア右肩。
そこには銀色に輝く一本の矢が肩を貫通し、生々しく紅に染まっていた。
そして、苦しそうな表情を浮かべて膝を着くレヴィリアの前には、クイーンが悪どい笑みを浮かべ、左手には単発式の小型ボウガン【スコーピオン】が握られていた。
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