第一章 悪鬼羅刹の猫娘

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「ま、もう諦めな。私の勝ちだよ」 そう言いながらスコーピオンに矢を装填し、レヴィリアの額に射出口を向けるクイーン。 女性ならではの細い指がボウガンの引き金にかかり、後は少し力を込めるだけで細い金属性の矢が放たれ、レヴィリアは無惨にも頭蓋を砕かれ、絶命する事だろう。 しかし――― 「クク………ククク……」 彼女は笑っていた。 俯いて笑みを浮かべるだけでなく、何かを押し殺すように不気味に声を漏らしている。 「………気でも狂ったのかい?レヴィリア、アンタは今、笑えるような状況かい?」 「ククク……クハハッ、残念ながら狂っちゃあねえな。考えてみろよ……【アマンダ】、お前はアタシにトドメを刺す為に矢を突き付けている……何でだ?答えは簡単だ」 レヴィリアは矢の刺さっている右肩を摩りながらゆっくりと顔をあげる。 その美しいながらも狂気染みた表情にクイーン……本名でいこう。 アマンダは今の状況に違和感を感じていく。 今、レヴィリアは肩に甚大なダメージを受け、ボウガンを突き付けられているが為に絶対絶命のはず………本当にそうなのか? そんなアマンダの迷いにレヴィリアはさらに口角を吊り上げる。 「さっきみたいな連射ならともかく、そんな単発式のチンケなボウガンじゃ動き回るアタシを仕留められない……だから【この至近距離】でボウガンを突き付けている………【アタシの間合い】の中でなぁっ!」 「な―――っ!クソ――ッッ!?」 アマンダは焦ったようにボウガンの引き金を引く。 しかし、その単発式ボウガン【スコーピオン】から放たれた矢はレヴィリアには当たらなかった。 アマンダが引き金を引く瞬間に、レヴィリアは素早くボウガンを持つアマンダの右腕を蹴り上げたのだ。 それにより金属性の短めの矢は誰に当たるでもなく、宙に向かって放たれた。 そして――― 「これで、形勢逆転だな」 体勢を崩されたアマンダは胸に蹴りを入れられ、そのままの勢いで地面に倒れ、その上に素早くレヴィリアがのし掛かり、左手でナイフを抜いてアマンダの首に押し付けた。
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