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サラサラと、身体の所々が砂となって散っていく。
ヒビはもう全身の至る所に回り、触れればそれだけで砕け散ってしまいそうな程に。
しかし、それでもガスターに痛みを感じているような素振りはない。
我慢しているのではなく、純粋に痛みを感じていないのだろう。
「親父………」
そうでなくば、ウォレットを見るその眼が、これ程までに優しいものであるはずがない。
「ウォレットよ………最後に一つ、男として……そして父親として貴様に始めて頼もう」
ガシッとウォレットの肩を掴むその手は、肩に触れてすぐに崩れて塵となる。
ガスターの顔も………もう三分の一は砂となって散っている。
それでもなお、ガスターは力強いその眼光でウォレットを真っ直ぐに見抜く。
「テルゼを救え………そして、クラウニールを倒し、再び空に自由を____」
ガスターのその言葉が最後まで紡がれる事はなかった。
最後まで言うよりも早く、世界最大にして最強を誇った伝説の大空族、ガスター・バレルはその生涯を終え、塵となりウォレットの目の前から消えた。
残されたのは目の前にある砂の山、そしてその中にキラリと光るペンダント。
鉄製の、所々錆の着いているそれはロケット式になっていて、開くと中に一枚の写真の切り抜きが入っていた。
「………ったく、こうも素直になれないのは血ってか」
呆れたように肩を竦め、細い血染めの鎖を己の首に掛け、ペンダントを己の胸に仕舞い込んだ。
これで敵の最高幹部であるガスターを撃破した。
残るは大トリ、クラウニールのみ。
……なのだが、今此処でそれを手放しで喜ん喜ぶ者はいなかった。
父親を……自らの手に掛けたのだ。
きっと、ウォレットとて顔を見られたくないだろうと、皆は気を配っている。
「いよし、これで残るはクラウニールだけだ。皆、覚悟はいいか?」
しかし、ウォレットは何事もなかったかのように剣を鞘に収め、クルリと振り返るとパイプを咥え、マッチで火を灯した。
「……そうね。後はクラウニールだけね。それで、この戦いも終わりだわ」
その隣に立つのはサーシャ。
ポン、と肩を叩き、一足先にと吹っ飛んだ壁の穴から甲板へと飛び降りる。
「あ!サーシャさん待って!私も!」
「こら!私を置いていくんじゃないよ!」
「ふふん。私は飛べるから余裕」
そうして残ったウォレットとレヴィリア。
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