第四十三章 最期の戦い

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目を覚ましたポーラは開口一番、そう叫んだ。 何度も繰り返し、テルゼお姉さんを助けて!………と。 テルゼが単身塔へと向かったのは知っている。 そして、クラウニール側もテルゼを相手にしている状況でウォレット達空族連合側とこんな戦争は起こせない。 故にテルゼは倒されたのだと想像はしていた。 ………が、こうして泣きながら、テルゼの相棒のポーラからこのように必死に助けてと要請を受ける。 その事実に予想は確信へと変わった。 「はやく!はやくしないと間にあわないんだお!」 ピョンとサーシャの顔に飛び乗り、力の限りサーシャのまぶたを引っ張るポーラ。 わかったから取り敢えず落ち着いて、とのサーシャの呼び掛けにも応えず、ポーラはただ泣きながらサーシャのまぶたを引っ張る。 「何やってんだ?」 そこへ、ウォレットとレヴィリアが帰還。 ようやく解放されると安堵の息を吐き、 「あ、ウォレット。ポーラちゃんがげふぅ________」 ウォレットに助けを求めようと、声を掛けようとした瞬間。 脇腹に鈍痛。 「サーシャさん………取り敢えずは私に一言くらい謝ろうよ」 「うく____エミ………?」 糸を使って加速、小さな拳にメリケンサック。 ハッチの角に頭をぶつけて血をダラダラと流すエミの怒りの一撃にサーシャ、ダウン。 「エミ、ごめんなさい。本当に悪かったから機嫌を直して」 その後、サーシャはフィリの治療を受けるエミにペコペコと頭を下げるも、流石のエミもご立腹。 ツンとそっぽを向いてサーシャを無視する。 「ほら、サーシャもああ言ってるんだ。エミも機嫌を直せ」 「う………船長がそう言うなら……」 「ニャニャンニャァアオン」 「お、もう準備は出来たのか?」 「ンニャ!」 「テルゼお姉さん!今助けにいくんだおー」 ウォレットの介入により、エミとサーシャのケンカも収まり、もう安心とサーシャの胸元からポーラが顔を出す。 そうしてシルフ号はプリンセスマザーから発艦、燃え盛る巨大な船………ウォレットの父親、世界最高の空族【ガスター・バレル】の墓標より飛び立った。 ____その瞬間、今までゆったりと落下を続けながらも、しっかりと巨体を維持していたプリンセスマザーはバラバラと崩壊、最強の戦艦は空に散った。 「………あばよ、親父」
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