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ウォレットの胸の傷に手を当て、淡い光を放ち治療を続けるフィリ。
が真に治療して欲しいのは彼女の心。
確かに火力で言えばフィリはこの一味の中では最強だが、こころは恐らく最弱。
脆い心を守る為、普段から強がってはいるものの、根はやはり真面目で大人しい部類に入るのだろうか、とても臆病だ。
まだ幼い頃はそうでもなかった。
いつからこんなに臆病になったのだろう………。
思い付くのはリリンとの融合。
六年前、死した二人の魂が融合し、復活したあの日。
フィリはあの日からずっと劣等感に苛まれてきた。
本当に【天才】としか言いようのないリリンにずっと憧れてきた。
しかし、いくら努力を重ねようともリリンには追い付けない。
それが彼女に強いコンプレックスとして根付いてしまっている。
この一年に渡る旅でも、活躍したのはリリンばかり。
フィリは自信を失っていた。
「そうだな………君は……最初、俺達が出会った頃と比べると弱くなったのかもしれないな」
そしてウォレットは思い返す。
出会った頃のフィリには正直勝てる気がしなかった。
しかし、今は違う。
ウォレット自身が強くなったのも少しはあるのかもしれないが、今はフィリには負ける気がしない。
この旅を通して、君は弱くなった。
ウォレットは正直に、偽りなくそう告げた。
フィリとてその言葉は覚悟していただろう。
自覚していたのだから。
………が、やはり面と向かって言われると辛い所はある。
ズーンと落ち込みながらも治療の手は止めず、そうして胸を治療を終えた頃………。
「でもな、フィリちゃん。俺は今のフィリちゃんの方が、人間としてかなり魅力的で、強く見えるよ」
「でも………私、弱いんでしょ?」
「そうだ。弱くて、気高くて………強い」
「………意味がわからない」
「わからせてやろうか?」
ウォレットはそっとフィリの頭を引き寄せ、そのフィリの淡い桜色の唇に______
「………オイオイ」
迫ろうとしたのだが、フィリは首を横に振って回避。
故にウォレットはフィリの頬に口付けをする形となった。
「ウォレット、だめ。それはだめ」
「駄目と言われたら尚更欲しくなるもんだしぜ」
「………せめて戦いが終わってから。戦いが終わったら一回だけデートくらいしてあげるから」
「セックスは有りか?」
「無し」
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