教授と呼ばれる大バカ野朗

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ココは小さな町だ 町とも呼べない村かもしれない だけどココにもちゃんと電気と水道は通ってる ガスは12年前にやっと止まった 世界的に見れば100年も前から大都市はガスと言う危険な可燃性の気体から卒業したというのに ココはそれ位の小さな村だ、いい所なんて数えるくらいしかない 確かに緑は多い、空気がおいしいと言うならそうなんだろう 山もとても綺麗に見える、夕日が重なれば息を呑む美しさだ でも大都市ではすでに町中の至る所に空気洗浄機が置いてあり、田舎に負けず劣らず空気はおいしい 更には画像技術が進んで3Dの映像はどちらが本物か分からないほど精巧になっている もう田舎での暮らしなんてデメリットしかないのがこの世界の現状だ 山が多い為に天気は変わりやすく、風が強い 木々が多い為に害虫や動物達が多く、畑を時々荒らしにやってくる だが、この村でもいい所はある 住めば都とはよく言ったもので、不自由さは感じないし、特に僕が通っている学校のあの図書室の広さと、本の量は尋常じゃない 知識欲が人一倍強い僕には、あそこは二度寝の気持ちよさより、大好きなスポーツで汗をかく事よりも、幸せな場所だ お陰で友達らしい友達は少なかった 当然だ、どんなに気前のいい同年代の人たちも毎回誘っては断られていれば声をかけることはしなくなる それでも僕は良かった そんな事より僕は本を読みたかった もちろん知識欲を満たすためだったのもあるが、それ以外にもあった 母の宿題である
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