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今になれば、この画を眺めて感慨に耽るとまではいかないまでも、あなたとこの画を描いた作者との間の“何か”を感じ、その余韻に浸ることも出来るのだが、当時目を引いたのは、画そのものでは無く、画用紙の右下に沿えられた走り書きじみたアルファベットの文字であった。アルファベット処か、平仮名の読み書きさえ拙い頃であったが、それがサインというものである事だけは模糊(もこ)に理解出来、理由も無く何故だかそれが、あなたの名前を書いたものでは無いと直感的に思われ、サインの施された絵画、イコール(即ち)高価なものであると思い込み、期待に胸を膨らませあなたに尋ねたことをよく覚えている。
「誰の画なの?」
――私だよ。
「誰が描いたの?」
あなたは、こう言った。
――私の友達だよ。
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