接触Ⅰ ―オレンジ―

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その人の何を知っていると言うのか。 ならばこれから知っていけば良い。 そんなことを簡単に口にする輩には反吐が出る。 何故知りたいと思った? 聞き出したらキリがないことだが、つくづくこころは憤りに感じていた。 こころは一目惚れなんて言葉を信じていない。 勝手に都合よく解釈してるに過ぎない戯言。 だって、結局は顔が決め手と言うことなのだから…… 「もう私行っていいですかね。ほら、入学式出ないといけないですし」 既に始まっていると思うのだけれども。 途中で入場とはまた目立つ。ただでさえ初っ端注目を浴びて悪目立ちを成していると言うのに。 しかし、そんなんでこの三人組が退くはずがない。それどころか、あまりにも平然と言ってのけたこころにブチギレ5秒前な彼女達。怒りで顔が真っ赤だ。 煽っているつもりはない。ただ、まともに相手をしていないだけ。 抑揚のない声音に、梨磨に向けていたモノとは別物の冷え切った眼。見下されたような気さえしてくる。 「……あんま調子のってんじゃねーよ」 一オクターヴは下がったであろう声音を耳にした直後、こころの頬に鋭い痛みが走った。 衝撃が第一に、その後にジワジワと痛みが伴って。 ああ私このリーダー格っぽい女に平手打ちかまされたんだと理解した。 ――いつまで経ってもこの痛みに慣れることはないなぁ。 元々痛みに弱いのだ。 力いっぱいに叩かれればいくら女言えどそりゃ痛いに決まっている。 「この学校で、あんたの常識が通用すると思うなよ」 ――常識? ふふ、何それ美味しいの? ダメだ、笑えてくる。 この人達にとって自分と言う存在がどれほど蔑まれているのか改めてよく分かった。 『男好きの若葉こころ』 『人の彼氏をも平気で誘惑するような女』 『簡単に体を許す』 『多数のセフレを所持している』
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