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それに対し、こころも満面の笑みで返すのだった。
自分を中々頼ってくれないこころ。
いつも一人で戦おうとし、私の善意を素直に受け取ってくれない。
だけど、心の底から笑ってくれるのは自分だけ。
こころの中の一番が私であることには変わりない。
出会ったあの時からずっと……
そう梨磨は自身を慰めることで一杯一杯だった。
*****
「HRってもう終わったのかな」
「いいのいいの。どうせこの学校のことなんだから、そんなもんすっ飛ばしてんでしょ」
それもそうか、と妙に納得してしまったこころは早くもこの学校の色に染まりつつあるのではないかと若干不安に思った。
いくら不本意ながらこの学校に来たとは言え、自分まで不良になるつもりはない。
その決意が早くも崩れそうなことに、こころは半ば苦笑い。
やはりと言うべきか、梨磨は入学式に出ていない。
ずっとこころを探していたそうだ。
そこでまた申し訳ないと、エンドレス。
キリがない。
「ねぇ、明日始業式だけだけど、サボッってウチこない?」
「え」
「クラスは分かっているんだし、別に良くない?」
自分よりも梨磨の方が先にこの学校に呑まれるのではないかとこころは思った。
中学の時はこう言うこと言うような子じゃなかったよねとしみじみ過去を振り返る。
まあ、ここのあまりにも自由過ぎる生徒達を見てしまえば何かもうどうでも良くなると自棄になるのも分かる気がするのだが。
ここは何でも授業日数の有無はあまり関係なく、テストである程度の成績を取り、季節ごとにある各行事に参加していれば進級出来ると学校の資料に明記してあった。
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