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それもそうかとこころは何の疑問も抱きはしなかった。
出席日数も評価に入れてしまえば一体何人の留年者が出ることやら。そんな大量に産出してしまえば学校にも傷が付くと言うもの。
「兄さんも明日いると思うわよ」
「えっ凛二さんも! じゃぁ、休んじゃおっかな」
凛二さんと言うのは、梨磨の兄。
そして、こころが唯一嫌悪を示さない異性でもある。
特別には違いないが、そこに色恋が絡んでいるわけではなく純粋に慕っているのだ。
そして凛二と言う男もまた、こころのことを妹のように大切に思ってくれてる。
現在大学二年と、そこまで年は離れていないにしろ全てを包み込むようなあの包容力にこころはついつい大人の魅力を感じてしまう。
こころはこの水城兄妹が大好きなのだ。
梨磨はこころの返事に嬉しそうに微笑んで、二人はこのまま校舎を後にするのかと思いきや。
「あーっこころちゃん発見!」
不愉快極まりないその声音に、途端に梨磨の顔には鬼神が乗り移る。
――またまた雲行き怪しくなってきたな……
下駄箱付近で溜まっている数名の男子生徒。
彼等は、1等星の如く輝かしい雰囲気を纏わす少女を視界に映せば目の色を変えてこころの元に駆け寄ってきた。
どうやらその隣に位置するドス黒いオーラを放った少女は見えていないようだ。
「待ち伏せして正解だな。まだ他の誰にも先越されてねーよな?」
「うっわ噂通りマジ可愛いな! 人形みてー」
「なぁ、ちょっくら俺等と遊ぼうぜ」
「ぎゃははちょっとじゃないだろー。んな短時間で終わんねーよ」
――ああ、嫌だ汚らわしい。
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