接触Ⅱ ―危険な奴等―

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「ねぇ、こころってば!」 だいぶ校舎から離れたところで、こころは歩を止めた。そのか細い小さな背中に、梨磨は声をぶつける。 どうして、そのような意味合いを含めて。 「もう、やめて……こんなこと」 「こんなことって?」 「だからっ自虐行為よ!」 ――自虐? こころはそんなつもりはない。どちらかと言えば、これは防衛策。 どうせ否定しても信じてもらえないのだから、ならばそれを逆手に取れば良い。 もう、傷付きたくはない。 と言うよりは、こころは疲れたのだ。 否定、し続けることに。 自分を見てもらおうと努力することに。 結局は、たくさんの人が自分から離れていった。 それなら始めから、周りを作らない。 そう言う人間だと最初から周囲に示しておけば、自分とて騙されない。 割り切った関係として、見ることが出来る。 「梨磨」 「……っ、」 「貴女がいれば、私は笑える」 これからも、傍にいて。 そう笑って、こころは梨磨の手首ではなく手の平を握り直す。 それを見て、改めて梨磨は思った。 こころを守れるのは自分しかいない、と。
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