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生暖かな風が肌を撫でる。
ここ一番の天気の下、『彼等』は屋上にいた。
これと言った規制はないのだが、『彼等』を慕う輩が勝手にこの場に行き来するこの地点を『彼等』の溜まり場としたのだ。
だがそれは『彼等』にとっても好都合で、一癖も二癖もある『彼等』。
人間嫌い、女性恐怖症、女嫌い、何の因縁かその手の輩が集まった一つのグループ。
この学校で誰も『彼等』に歯向かうもの、敵うものはいない。
迂闊に近付けない、目が合ったら秒殺と、そのような話まで飛び交っている。
「ねぇねぇ聞いた? 聞いた? あの噂!」
「お前相変わらずウザいテンションだな。で、何?」
「……君は相変わらず毒男くんですね。新入生の中にちょービッチな女の子が混じってんだって! まあそれだけならたいして気に留めることもないんだけど、なんとその子!」
「‘万人が認める美しさ’、だろ? こんだけ騒がれてりゃ耳にするって。つか俺その女にさっき会ったけど」
「ええっ!」
「もうみっくんうっさい!」
前髪を横に流した、栗色に染め上げた男。垂れた目尻が特徴的だ。そんな彼を一喝したのは二重瞼パッチリの童顔な男。
そして、先程から煩わしそうに軽くあしらっているのはあのオレンジ色の爽やかくん。
そう、こころに散々な嫌味を浴びせた――
「どどどうだった?」
「別に。噂通りだなぁって。キスされそうになった」
「うっへマジかぁー。なら頼めばヤらせてくれるかな」
「かもね」
栗色の男の言葉に、オレンジ色の男は冷笑した。その笑みを見た童顔な彼はブルリと身震いを。
こんな最低な会話を誰一人として窘める者はいない。
この話題はまだ続く。
「きっとその女相当自分の顔に自信があるんだよ。ならさ、本気にさせてこっ酷く捨ててやるのも一興ってもんじゃない?」
「あははみっくん酷~。でも、面白そう」
あどけない笑みで残酷なことをベビーフェイスな少年は口走る。
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