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「昨日、ウチの教室に蜜夜さんがきたんだ」
――蜜夜さん?
こころは聞き覚えのない名前に首を捻る。
「それで、こころちゃんに会いにきて……」
「どさくさ紛れにこころのこと名前で呼ぶな」
「梨磨、私はいいから」
「……、チ」
本当に梨磨はこころ以外の相手には男女問わず手厳しいなと、でもその反面愛されてるなぁとこころはしみじみ思う。
名前呼びぐらい特にこころは気にしない。どうせ皆影で自分のこと好き勝手呼んでいるのだから、今更だ。
それよりも、話しが逸れる方が困ると言うもの。「それで?」とこころは促した。
「その、蜜夜さんって遠矢さんのグループの一員だから、さ。直ぐにそのことが全校に出回って……蜜夜さん顔だけはいいからさ、女に人気あんだ」
――ダメだ。冬雅が何言っているのか全然分かんないや。遠矢さんって誰。
こころに蜜夜と言う知り合いはいない。またいつものパターンかとも思ったが、その男は何やら顔がイイらしく有名人だとか。
そんな輩まで自分を求めてくるとはと呆れてくる話しだ。
「へぇ、それで全校生徒からこころが目の敵にされてるって? ふん、馬鹿馬鹿しい」
「ねー。よくいちいち人のことに反応出来るよね」
前髪を手の平でかき上げて、そう吐き捨てる梨磨に冬雅は同意する。
――あ、れ?
そこでふと、こころは梨磨に視線を合わせている冬雅を見た。
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