接触Ⅲ ―瀬野蜜夜―

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「昨日、ウチの教室に蜜夜さんがきたんだ」 ――蜜夜さん? こころは聞き覚えのない名前に首を捻る。 「それで、こころちゃんに会いにきて……」 「どさくさ紛れにこころのこと名前で呼ぶな」 「梨磨、私はいいから」 「……、チ」 本当に梨磨はこころ以外の相手には男女問わず手厳しいなと、でもその反面愛されてるなぁとこころはしみじみ思う。 名前呼びぐらい特にこころは気にしない。どうせ皆影で自分のこと好き勝手呼んでいるのだから、今更だ。 それよりも、話しが逸れる方が困ると言うもの。「それで?」とこころは促した。 「その、蜜夜さんって遠矢さんのグループの一員だから、さ。直ぐにそのことが全校に出回って……蜜夜さん顔だけはいいからさ、女に人気あんだ」 ――ダメだ。冬雅が何言っているのか全然分かんないや。遠矢さんって誰。 こころに蜜夜と言う知り合いはいない。またいつものパターンかとも思ったが、その男は何やら顔がイイらしく有名人だとか。 そんな輩まで自分を求めてくるとはと呆れてくる話しだ。 「へぇ、それで全校生徒からこころが目の敵にされてるって? ふん、馬鹿馬鹿しい」 「ねー。よくいちいち人のことに反応出来るよね」 前髪を手の平でかき上げて、そう吐き捨てる梨磨に冬雅は同意する。 ――あ、れ? そこでふと、こころは梨磨に視線を合わせている冬雅を見た。
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