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そこに‘不本意ながら’が恐らく付くのだろうが、とこころが苦笑を溢していれば、和樹がこころの視線の先に気付き。
「あれ、俺の友達」
確実に冬雅のことを目で指してそう言った。だからか、「へ?」とこころの口から気の抜けた声が漏れた。
いやだって、とこころは和樹、そして冬雅を再度見やる。
外見だけを見れば二人共大人びた顔立ちをしているが、中身は天と地程の差がある。それは今日初めて二人と対話したこころでさえも瞬時にそう感じたことだった。
落ち着きがないように見える冬雅と、中身までもは落ち着いている和樹。
――ある意味バランスは取れているのかも。
ないものを補っているような、それはまた、己と梨磨のようだとも思った。だがしかして、二人に比べて自分達の絆が劣っているとも思っていない。そこは譲らない。
少しだけ、こころは二人に興味を抱いた。
自分が認識している‘男’とは違っているために。
だけど、馬鹿馬鹿しいと自身を嘲笑った。
――男友達なんて、いらないのよ。
「一緒にいるの、もしかして若葉さんの友達?」
「ええ、そうよ」
「あはは、冬雅楽しそう」
和樹の言う通り、表情をコロコロ変えては天真爛漫と笑っている。
が、あくまでもそれは冬雅だけの話しで。梨磨は不機嫌そうに顔を顰めていた。
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