凡人は異世界で非凡です。

終わりは始まり

寝てそのまま目が覚めずに死んだ。

まだ、あのアニメ見終えて無いのに。
まだ、親孝行してないのに。
まだ、やり残した事が沢山あるのに。

「分かっておる。そこでじゃ、お主に異世界に行ってもらいたいと思う。そこで良い働きをすれば生き返させてやろう」

良い働きってどんな事だ？

「今、その異世界には、悪がおってじゃな、その悪が悪を呼ぶ悪循環に陥っておる。そこにお主と言う存在を投入し波紋を呼び起こそうと思うのじゃ」

波紋を呼び起こす……？

「そうじゃ。世の中は食い食われる関係にある。食うものが増えれば食われるものが減る。食われるものが減れば食うものが減り食われるものが増える。しかし、これからお主に行ってもらう異世界は、悪循環のせいでそのバランスが崩れかけておる。そこにお主と言う小さな波紋によって循環を取り戻して欲しいんじゃ」

そんな事が俺に出来るのか？

「安心せい。少しの波紋でも世界は循環する流れを取り戻すじゃろう」

じゃあ、神様は何で世界に干渉しないんだ？

「干渉したくない訳では無いがお主を干渉させた方が効率が良いからじゃ」

なんでだ？神様ならすぐに何とか出来るだろう？

「うむ。そう上手くいかんのじゃよ。例えば畑を想像して欲しい。畑には、害虫が沢山おって駆除する為に農薬を使えば簡単に駆除出来るが、畑の植物は悪くなる。一つ一つ取る方法もあるが、キリがない。なら、どうすれば良いか、お主なら分かるじゃろう？」

俺が異世界に行く事と関係している事なんだよな……。それなら、虫を食べて増える動物とか虫に直接影響のある動物を放せば良いと言うのが答えになる訳か？

「左様。はやり、お主は聡明じゃ」
神様はホッホッホと高らかに笑う。

なんで俺が選ばれたんだ？

「お主が若く聡明じゃからと言うことにしておくかの」

含みのある言い方だな。まぁ、良い。それで生き返る事が出来るなら。
そういえば、元いた世界に生き返る時、俺はどういう風に生き返るんだ？
まさか、人間以外の他の動物で……。
ふと、その思考が過ぎった時、神様が話し出す。

「安心せい。何事も無かったかの様にお主は目が覚める。時間を止めるくらい儂には造作もないからの。じゃが、お主が行ってもらう異世界で良い働きをしなかった時は、その世界で息を引き取って貰うからの」