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「……は」
ふと顔を上げると、そこにはオアシスが広がっていた。いや、オアシスではないけれど、出てきた言葉がオアシスだった。
実際には森の中の泉みたいな感じで、周りには色とりどりの綺麗な草花が咲いている。今にも妖精が出てきそうな雰囲気。
こんなことを考えられる程、まだ私はファンシーな頭をしていたのか。いやはやびっくり。
「んーいい空気じゃないか。それじゃ、おやすみなさい」
「いやいやいや、寝るって発想はおかしいですよ!?」
泉の縁にある草っぱらに寝っ転がろうとした時、背後から声が聞こえてきた。
振り返るとそこには、さわやかな笑顔を浮かべる金髪のイケメンがいた。非常に腹が立った。
「何故怒っているんですか、顔に出てますよ。まだ私は何もしていませんよ」
「隠すつもりはない。まだってことはこれからするのか」
「いえ、しませんからとりあえず話を聞いてください……」
「だが断る。イケメン程胡散臭いものはいない。ある一人の友人を除く」
「お願いします、お願いですから聞いてください!!」
何故か知らないが、イケメンが涙目になっている。いい気味だざまあみろ。あっはっは。
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