女子力欠如、遭遇する。

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扉を出て向かって右の方に、休憩所のようになっている場所がある。そこには人が2人。片方は座っており、もう1人はそれに寄り添うように立っている。 こちらに背を向けているためよく分からないが、小柄な女性のようだ。いや、椅子に座っていて足が地に付いていないところを見ると、女の子、かな。 ちょっと待て、その子の横にあの騎士のお姉さんがいらっしゃる。うわあお、どういう状況なのこれ。 ルーセントさんはまっすぐそちらに向かって歩き、その女の子の目の前で恭しく跪いた。 「シュレイネ様、お連れいたしました」 「お疲れ様ですルーセント」 幼いながらも凛とした声を発し、シュレイネと呼ばれた少女は椅子から降りた。ルーセントさんは素早く立ち上がって姫様の前から退く。 そうして私の目の前に現れた姫様は、こちらを見て微笑んだ。あら可愛らしふつくしい。 姫様が先に挨拶をしてしまう前に、こちらから言わねば失礼に当たる。私はその場に片膝をつき、頭を垂れた。 「王女殿下の御尊顔を拝しまして、恐悦至極に存じ上げ奉ります。私は私設ギルド『悠久の翼』に所属しております、ユリヤ・シンドウに御座います。王女殿下のご用命賜り馳せ参じた次第であります」 ……うーん、思いつく限り丁寧に挨拶してみたけど、これで合ってるのかな。西洋的というよりはなんかこう、時代劇調な気がしなくもない。 「しゅてあは、すてあでしゅ。おひめしゃま、こんにちわ!」 『……ガウ』 私が頭を下げたのを見て、ステラもフェンも同じように頭を下げた。さすがに膝をついたりはしていないけど。
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