第3章

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―――― 「稜ちゃーん、朝ですよー」 「キモッ、なんちゅう声出してんだよ」  机の上に突っ伏したまま顔だけを少し起こし、稜はギロリと正哉を睨んだ。 「オマエ堂々と寝過ぎだろ……。葉月ちゃん、おどおどしながら稜のこと見てたぞー。新任教師が自信なくして登校拒否でもしたら、洒落になんないぞ」 「登校拒否じゃなくて出勤拒否。それくらいでするかよ」 「わっかんねーぞ。で、オマエ昼どうする?俺は購買に行くけど」 「んーっ」 大きく伸びをして立ち上がりながら、 「今から行ってもロクなの残ってないだろ。俺はパス。ついでに五時間目もパース。じゃ、お先ー」 と、空っぽの鞄を手に取った。 「おい、二日連チャンでサボりはまずいだろ」  制止も流して教室を出ていく稜を何とも言えぬ表情―呆れと心配を滲ませながらも、それ以上は引き止めることもなくそっと溜め息を吐く正也だった。
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