22人が本棚に入れています
本棚に追加
――――
「稜ちゃーん、朝ですよー」
「キモッ、なんちゅう声出してんだよ」
机の上に突っ伏したまま顔だけを少し起こし、稜はギロリと正哉を睨んだ。
「オマエ堂々と寝過ぎだろ……。葉月ちゃん、おどおどしながら稜のこと見てたぞー。新任教師が自信なくして登校拒否でもしたら、洒落になんないぞ」
「登校拒否じゃなくて出勤拒否。それくらいでするかよ」
「わっかんねーぞ。で、オマエ昼どうする?俺は購買に行くけど」
「んーっ」
大きく伸びをして立ち上がりながら、
「今から行ってもロクなの残ってないだろ。俺はパス。ついでに五時間目もパース。じゃ、お先ー」
と、空っぽの鞄を手に取った。
「おい、二日連チャンでサボりはまずいだろ」
制止も流して教室を出ていく稜を何とも言えぬ表情―呆れと心配を滲ませながらも、それ以上は引き止めることもなくそっと溜め息を吐く正也だった。
最初のコメントを投稿しよう!