第3章

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「あー、そうそう。昨日は悪かったな。あれから誰か掴まったか?」 「いいや。いつものおきまり」 「えっ、じゃ、さっきの痴話喧嘩はマジな方の修羅場だったわけ?」 「違う、違う。アイツはもっとちっちぇ事でジェラシー?抱いちゃってるわけよ」  正哉は眉を寄せると、心底呆れたように言った。 「でもさ、実際のとこ麗ちゃんが思ってる以上に最低なことしてるわけじゃん。いいかげん、どっちかはっきりしろよ」  机に片肘を着いて「そんなんじゃないんだって」と稜が呟いたとほぼ同時に、担任の山中が教室へ入ってきた。  正哉も他のクラスメート達も自分の席へ戻り朝のSHRが始まったが、麗の席は鞄が机の上に置かれ、無人のままだった。 「高田はどうした?」と訊ねる担任の言葉を受け、チラチラと稜の方を見る者も数名いたが、当の稜は気にする様子もなく窓の外をぼんやりと眺めていた。
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