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「わりぃ!遅くなった!」
わたしの家の扉を壊しそうな勢いで開けて入って来た悠哉は、一言そう言った。
「ホント、遅すぎ!今何時だと思ってるの?」
わたしは、丁度6時30分を差している時計を指差して怒鳴る。
「んなこと言われても、俺は遅刻魔なんだからしゃーねぇじゃねぇか!」
「何よ、逆ギレ!?」
悠哉の言葉に、わたしの怒りは更に増し、二人で言い争いを始めた。
「こら!そうやってる方が遅刻するわよ?」
どうやら、わたし達の声を聞きつけたらしいお母さんが、台所から出て来て言った。
「そうだけど…」
わたしは、エプロンで手を拭きながら眉を吊り上げているお母さんに向かって、不満を漏らす。
「いいから。行きながらでもそういう話は出来るでしょ?」
確かにお母さんの言うことは正しい。
「…わかった。行って来ます。」
「はい、行ってらっしゃい。」
お母さんは、わたしの言葉を聞いて、ふて腐れて出て行くわたしと悠哉を笑顔で送り出した。
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