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わたしは歩くのを速める。
「お、おい!ちょっと待てよ!」
悠哉が後ろから慌てて追い掛けてくるが、そんなことは気にしない。
わたしは悠哉にあっかんべえをして走り出した。
「あ、こら!一人で行くんじゃねぇよ!」
悠哉が、後ろから走りながら叫んでいるが、それも気にせずに走る。
そうやって、30分かけて、ようやく駅に辿り着いた。
しかし、昨日のことが思い出されて、なかなか駅へと足が進まない。
「やっと追いついたぜ。不意をつかれて遅くなっちまった!」
それだけ言ってから、駅とわたしを交互に見た悠哉は、不安気に顔を覗き込んできた。
「どうした?やっぱり電車が怖くなったか?」
わたしは、更に覗き込んでくる悠哉から顔を逸らした。
だって、図星だってバレたくなかったんだもん。
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