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「あ、おい!一体何なんだよ!?」
「わかんないの?学校まで走ってるのよ!」
腰を丸めながらわたしに引っ張られている悠哉が、慌てたように叫んだ。
それにわたしは、最も簡単な答えを返す。
後ろの方では、ようやくわたし達がいないことに気付いた生徒達が騒いでいるのが聞こえる。
「ったく…。事情は後からたっぷりと聞かせてもらうからな!」
悠哉はそれだけ言うと、わたしの手を握り直し、わたしを引っ張るように学校へと走り出した。
悠哉はとても走るのが速く、風を切る音がとても大きく聞こえる。
こんなに速い人間っているの?
絶対にありえない…
「おら、着いたぜ。」
悠哉の自慢気な声で、わたしは我に返った。
「はや…」
わたしの口から出たのはただそれだけ。
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